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「ユナイテッド93」試写

「9.11」の機内でどのような出来事があったのかをセミ・ドキュメンタリー風に映像化した勇気ある作品。
4機のハイジャック中、ただ1機だけ目標到達を阻んだ「ユナイテッド93」便の事実。
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「9.11」の出来事は、自分の心の中に深く突き刺さったまま、である。
観る前から、あの出来事を思い起こすと泣けてくる。

この映画を観る前に、思っていたことは、
“台無しにだけはしないでくれ”ということだった。
つまり、余計な脚色は入れず、ありのままを伝えてくれ、ということ。

しかし、万人に向けて発信することのできる影響力の強い映画という媒体で、
“ありのままを伝える”ということがどれだけ難しいか。
監督の思いがどのように反映されるか、不安だった。

――しかし。
その心配無用!

幸い、その点に関しては、監督も心得ていたらしく、大仰な演出がされていないので、安心して観ていられた。
無名のキャストを起用したのが功を奏している。
しかも、地上にいる管制官など、ところどころで本人役(As himself)として出演している。
5年しか経っていないのに、この事実に取り組んだ監督、キャスト、スタッフに拍手を送りたい。

事実をありのままに描くだけで、もう心がいっぱいいっぱいになる。

そういうものである。

これを映画化したのは、本当に勇気ある行動だと思う。
どのような観点から描くのか、興味津々だった。
作りとしては、飛行機が飛び立ち、墜落するまでを事実と想像を交えて描いている。

事実は、携帯電話で地上の家族と連絡を取り合うシーンなど。
想像は、テロリストが飛行機の操縦桿にモスクと思われる写真を貼るシーンなど。
ボイスレコーダーやらフライトレコーダーやら、管制室での通信やら家族との連絡やらを総合して、描いているんだろうなぁ。
エンドロールを見るとさらに泣ける(エンドロールまでしっかり見てください)。


自分がこの状況に置かれたとき、どのように行動しただろうかと思うと鳥肌が立つ。
もっと家族や恋人、友人に対して愛を伝えておけば良かった、とか
もっと体を鍛えておけば良かった、とか
いろんな思いが去来する。

作り方も非常に上手い。
緊張状態がずーっと続く編集は並々ならぬものがある。
究極の絶対的危機状況。
この心臓がバクバク状態は、「ダイ・ハード」や「T2」のときに味わった以来かもしれない。
もちろん、質は違いますが。


アメリカ側から語られがちだけど、(テロリストとみなされている)アラブの派閥側からの論理にも耳を傾けなければならない。
自爆してまでテロを実行しなければならない理由は?
考えただけでぞっとするけど、それが世界の事実。

この作品もさることながら、この作品のドキュメンタリーを観てみたい。
DVD化されたら特別映像として入るだろうか。
多くの人が、あの飛行機内の、管制室の撮影現場でどのような思いで取り組んだのか。
それを想像すると、監督の力量と度胸、信念の強さに感服する。
家で観てたら、号泣必至です。


このタイプの作品は、監督の主義主張を入れてしまうと、途端に意味をなさないものになってしまう場合がある。
本来映画は、監督の主義主張を入れて初めて作品として意味をなすものだ。
しかし、この作品(この出来事)に関しては、あまりにも多くの人の思いが詰まりすぎている。
そこに監督個人の主義主張を入れことはできなかった、と思います。
だからこそ、「すべてを客観的に描き、映画を観るすべての人々に任せる」というスタンスをとったのでしょう。

“監督の主義主張を入れなかった”という監督の主義主張

この勇気ある英断に感服。


あの悲劇の原因は何だったのか。
そして、二度と悲劇を繰り返さないためには、どうすればよいのか。

観るだけでは完結しない。
観た後、考えることによって、初めて意味をなす。
決して終わらない映画なのだ。

全人類必見の映画。


評価不能。

「カポーティ」試写

フィリップ・シーモア・ホフマン扮する作家トルーマン・カポーティが「冷血」を書き終えるまでを描いた作品。
この作品で、彼はアカデミー主演男優賞を獲得。
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「M:i:III」の敵役の演技を観て、観たくなった作品。
この作品の見どころは、やはり彼なのだ。
彼のための映画。


何か起こるのではないかと不安を煽るようなカットはあるのだけど、特にこれといって起こるわけではなく肩すかしを喰らう。
作家という職業の人が、どのように発想し、どのように行動していくのかについては、興味があったけど、その描き方があまり伝わってこなかった。
派手さはなく、作品としては、描き方や興味を惹き付け具合が甘いかなと思う部分があったりした。

ちょっと変わったところがある風なカポーティを、隙がなく演じているのが凄い。
演じているというより、もう“その人自身”なのだ。
演技は恐るべし、なんだけど作品自体に魅力を感じなかった。


映画は、演技も含めた総合芸術。

★★★★★☆☆☆☆☆(5)

「M:i:III」試写

先週試写室に行ったらすでに満席。
余裕を持って50分前に行くも、補助席に座るしかなかった。
注目の高さが伺える。
普段来ているマスコミの方ではなさそうな輩の姿が見えたので、単に“観たい”っていう人が集まった可能性大。
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トムさん主演の「ミッション:インポッシブル」。
1のサスペンスと2のアクションが融合っていう触れ込み。
さすがは一大エンタテインメントなのだ。
インポッシブルな、信じられない過激アクションがてんこ盛り。




指令を受ける前のパーティーでも、劇中の婚約者にデレデレのトムさんは、実生活そのものの感じがしてちょっと勘弁してくれって感じでした。
エージェントの内面をも描くという今回のコンセプト通りなのですが、いかんせん実生活が話題だらけなので・・・(苦笑)。


見どころは、トムさん自身が乗るヘリコプターの場面、振り子の場面でしょうか。
前者は、場面設定が良いので、スリリングな仕上がりになってました。
あそこに“アノ装置”を持ってくるあたりがサスガ。

後者は、現実版「マトリックス」かと思うくらいの現実離れしたアクション。
こういうのを観ると思わずニヤけてしまうのだが、これがまたこういった類の作品のイイところですよ。
“おいおい、人間ってそんなに丈夫にできているのか”っていうくらい(笑)。

ただ、最高峰のエージェントが緻密かつ正確に練り上げれば、できなくはないか?と思わせる設定なので、“無理だよ”と“できるかも”の超微妙なバランスが保たれている。凄い。

異彩を放つのが、フィリップ・シーモア・ホフマン。
キャラクター形成が成功している例ですね。
冷徹な目をした無表情さで口だけが動いて喋っているなんて、ゾクゾクします。
「カポーティ」が観たくなった。

2みたいにスカッと終わるようなものではなかったけど、エンタテインメントはこうでなくっちゃ、と言わんばかりの作品になっていてよかったです。
デ・パルマ、ジョン・ウーのようなこれが俺のやり方だ!っていうのはあまり感じなかったけど、うまく収められてました。
・・・J・J・エイブラムス、ドラマ観ないとなぁ。


アクションの善し悪しは、場面設定から。

★★★★★★★☆☆☆(7)