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「ザ・シューター 極大射程」試写

極大射程〈上巻〉 極大射程〈上巻〉
スティーヴン ハンター (1998/12)
新潮社
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マーク・ウォールバーグ主演のアクション大作。

2キロ先のターゲットも撃ち抜く腕前のプロフェッショナルなスナイパーの軍曹が、対大統領暗殺の名目で狙撃ポイントを割り出すのだが、何者かの陰謀で暗殺者に仕立てられてしまう。

狙撃手なだけに、敵の頭部へ射撃一発で次々に仕留めていく。
有無を言わさず敵を仕留めていくその姿は、かっこよさと恐ろしさが同居する。
敵と味方は紙一重。
別の意味で、戦闘のプロフェッショナルを育成する軍隊が、人間兵器を作ってきた結果の一端が生々しくわかる。

さすがに、頭部が吹っ飛ぶ映像を見せられて気持ちよいわけはなく、単純にスカッと感じられない。
どうしても越えられないアクション映画の矛盾を見させられた感じ。


気持ちの良いアクション映画とは

★★★★★★☆☆☆☆(6)

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「プレステージ」試写

The Prestige The Prestige
Jonathan Nolan、Christopher Nolan 他 (2006/10/31)
Faber & Faber
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ノーラン先生の新作。
実弟ジョナサン・ノーランと共同脚本。
本編を観たときから感じていたが、やはり、音楽はデイヴィッド・ジュリアン。
いよいよ、“好きなことができはじめた”感じの先生。

いや〜、楽しすぎ!
この映画は、2人の奇術師が互いにプライドを賭けて腕を競い合いエスカレートしていくお話。
ヒュー・ジャックマン扮するステージ上の奇術師は、妻を水槽に入れ縄抜けをさせるイリュージョンを見せていたが、事故により妻を失ってしまう。
その妻の縄を結んだのが客席でサクラをしていた奇術師クリスチャン・ベール。
この事故をきっかけに、2人の関係がこじれてしまう。

“我が一番の奇術師だ”と競争心を剥き出し、奇術を披露し、互いの世間的名声が二転三転する。
幸せな家庭を築いているベールを恨み、相手のネタを欲しがるジャックマン。
そして、2人の間を奇術師アシスタントのスカーレット・ヨハンソンが妖しげに絡んでいく。

面白いのは、全体の構成。
冒頭から、奇術師よろしく、「よーく見てごらん」というような観客に呼びかける会話(劇中では、小さな女の子にマジックを見せているマイケル・ケインが呼びかけている会話)から始まる。うー、やってくれる。
檻の中の小鳥、縄抜けの水槽、瞬間移動と、奇術のネタが映画自体に存分に活かされまくっていて、入れ子構造の構成もさることながら、奇術師の術中にはまらずとも、ノーラン先生の華麗な術中にはまっていく。
よくできてるなーと感心する。
難点は、ある1点に納得できるかどうか。


映画を魅せるためのトリック

★★★★★★★★★☆(9)

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「ゾディアック」完成披露試写

Zodiac Zodiac
Original Soundtrack (2007/02/27)
Varese Sarabande
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いまだ未解決のゾディアック事件を映画化したフィンチャー君の新作。

いつもながら、彼らしいビジュアル・スタイルは健在。
時間が経過したことを高層ビルが積み上がって完成していくCG処理で表現したり、
ゾディアックが乗り込んだタクシーを、まるで犯罪者の神の視点で真上俯瞰から固定のようなカメラワークで追ったり、
超ハイスピード撮影で血しぶきが止まっている粒に見えるほどの殺害シーンに仕立てたり

と、おおっと思わせる映像はあるものの、物語の性質上、事実を着実に追い、全体的に落ち着いた印象なので、見せ方が大人になった感じがしました。
(余談ですが、「ゲーム」でマイケル・ダグラスが乗る車のを正面に向かってボンネットが大映しになるように撮りながら上手側にトラックするシーンがそっくりそのまま移植されてました。このビジュアルが好きなんだなぁと改めて実感)

長尺だが、それを持たせる手腕はさすが。
真夜中に車中のカップルを至近距離から発砲し殺害、昼間に丘で寝そべるカップルをナイフでめった刺しで殺害、タクシーの運転手を至近距離から発砲し殺害――など、計7人を殺害(うち1人は生き延びる)。どの殺害シーンも残酷で印象深い。

実際の凶行以上に、メディアを利用して、市民に対する恐怖への突き落としを一層深めたことがこの事件を特異なものとしている。
変装して犯行に及んだり新聞社に暗号文を送ったりしたゾディアックが、メディアを巻き込んで強烈な自己顕示欲を示した姿と、映画内で見えないゾディアックを描いたゾディアック像が、まるでフィンチャー君が作った幻影のように当時の状況が再現される様は異様。

また、ジェイク・ギレンホール扮する新聞社付きの風刺漫画家が、刑事でもないのにゾディアックを追う熱意のあまり、身の危険を感じるこのサスペンス描写も見どころ。

この事件が事実を元にしているだけに、あえて特別なことはせずとも十分その異常さは感じられる。
とはいえ、ゾディアックそのものより、その周囲の人々に焦点が当てられているので派手さはなく、ましてや、「ファイト・クラブ」や「セブン」ほどの刺激はなく、未解決なだけに、当然のことながらカタルシスは得られない。
刑事ものでもなく、もろにエンタメってわけでもない。
じっくり観る系です。


事実とエンタメのバランス

★★★★★★★★☆☆(8)

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「バベル」試写

バベル-オリジナル・サウンドトラック バベル-オリジナル・サウンドトラック
サントラ (2007/04/11)
ユニバーサルクラシック
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素晴らしい!!

こんな映画撮れない・・・
撮れるようになりたい。

この作品は4つのストーリーがシンクロして描かれる。
 ●モロッコを訪れたワケあり観光客(ブラピ&ケイト・ブランシェット)
 ●その観光客の子供と養母(ベビーシッター)
 ●観光客(ケイト)を過失で銃撃してしまうモロッコの現地少年とその家族
 ●銃撃で使用されたライフルの元持ち主である父親と聴覚障害を持つその娘(役所広司&菊池凛子)

それぞれが悩みを抱え、過ちを犯し、迷い藻掻く。
タイトルの「バベル」は、まさにそんな「藻掻く者」を象徴している。

観終わった後、改めて各ストーリーを思い起こしてみると、いかに我々のコミュニケーションが多種多様であるかを再認識させられる。
と同時に、この作品では、直接的or間接的コミュニケーション不全によるどうしようもできない状態からいかに脱出するか、について問いかけとその答えの一端を示している。

 ○ブラピと他の観光客との言い合い
 ○不意に砂漠に取り残され、国境越えの汚名を着せられた養母
 ○容疑者として警察から蜂の巣にされながら、自分の行為を反省するモロッコ少年
 ○聴覚障害のため、自分の価値を疑問視する女子高校生

印象深いシーンがとても多い本作。

特にモロッコのシーンは人と人がぶつかり合うので、いたたまれない。
応急処置のため、銃撃されたケイトを乗せた観光バスは、現地の辺鄙な村にやってくる。
物珍しそうに、あるいは不審そうに観光バスを見つめる者、中には家の戸を閉ざす者。
コミュニケーションへの反応は様々だ。
現代を象徴する観光バスが異界に踏み込むように、他国が他国へ侵入する様を彷彿とさせる。

テロリストがやってくるから先を急ぎたい他の観光客と、わけもわからず妻を銃撃されたブラピの言い合いが、コミュニケーションできるはずの言語(英語)を持っているのにも関わらず相容れない。
一方で、現地の老婆が、苦しみ藻掻いているケイトに、気付け代わりに煙草を優しく差し出す。何を喋っているのかわからないはずなのに、心は通じるのである。

例えば、諸外国の観光地で、自分もしくは他人がこのような災難に遭った場合、どういう行動をとるだろうか。
その地がもし危険地帯で、自らにも危険が及ぶことが予想される場合、どういう行動をとるだろうか。
映画を観ていていつも思うことは、感情移入もさることながら、自分をその状況に置いたとき自分を省みることができるということだ。
いわば疑似体験ができるのが映画の素晴らしいところ。
このおかげで、涙がずーっと頬を伝い続ける人生初の作品となった。

この監督はなぜこんなにも窮地を作るのがうまいのだろう。
しかも、もの悲しい音楽がやりきれなさを一層増幅させる。

「悪人ではない、ただ愚かなだけ」という養母の言葉がとても印象的。
観どころが多いだけでなく、観終わった後、様々に語り合いたくなる作品。
この映画、語り切れません。


スコセッシには悪いけど、これを超えてはないよ。
この作品がアカデミー賞作品賞に漏れたことは事件だ。


テーマを浮き彫りにする着眼点と構成

★★★★★★★★★★(10)

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「フランドル」サンプル

Flanders (French Movie)2006年のカンヌ映画祭で審査員特別グランプリを獲った作品。

主人公は2人。
片田舎の村で、これから戦地に行く青年とその幼なじみの娘。

この2人の関係が微妙。セックスはするのだが、青年は娘のことを“ただの幼なじみ”だと言う。
かといって、友達と彼女が付き合い始め、濃厚なキスを見て嫉妬する。

青年は戦場で様々な体験をする。
仲間を失い、敵(子供)を射殺、レイプ、捕虜、拷問、等々戦場で行われる数々の非道が淡々と描かれる。

ドラマティックに描かず、淡々とその場に“置いてくる”感じで話が進むので、観る側にとって考える猶予が与えられる。この行為は是か非か、その選択は仕方ないのか、自分がこの立場だったらどうするか、いちいち問題提起をされる。

一方、娘は村で平凡な日常を送る。
しかし、この娘はどうやらこの村で誰とでもヤリそうな風に描かれる。
(“寝る”というより“ヤル”、いや“ヤラせる”という感じに描かれる)
これが彼女の精神を蝕み、病院に送られる。
でも、彼女の行動があまり理解できなかった・・・片田舎に育ち、刺激を求めたのか? 寂しさを慰めたのか? うーん・・・

大袈裟に描かない、ラストの持って行き方、にカンヌらしさを感じつつ、それでも「えっ、これで終わり?」という印象が拭えなかった。


問題提起とドラマ性、エンタメ性とアート性

★★★★★★☆☆☆☆(6)

「恋愛睡眠のすすめ」試写

恋愛睡眠のすすめ(出演 ガエル・ガルシア・ベルナル シャルロット・ゲンズブール) 恋愛睡眠のすすめ(出演 ガエル・ガルシア・ベルナル シャルロット・ゲンズブール)
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ガエル・ガルシア・ベルナル主演の妄想ラブ・ストーリー。

夢と現実の区別があやふやな主人公ガエル君が、隣に住む女性に想い寄せ、妄想に没入したかと思えば現実に戻りを繰り返す。そしていつしか夢でしたことが現実で反映されていて、取り返しのつかないところまで行ってしまう。

ガエル君のダメダメな感じがとてもキュートで魅力的です。

逆に言えば、端正な顔立ちのガエル君だからこそギリギリ成り立っていますが、普通の男がこんな妄想野郎だったら完全にアウト(笑)。かなりイッテしまわれてます

注意の対象物が異様に大きく見えたり、頭の中で起こっていることがテレビ局のスタジオだったり、無生物が動いたり、別のモノで代用されたりと、視覚的な夢の世界はとても身近で好感が持てる。

ただ、その分少々安易な表現かなとも思ってしまった。
シャープさというより、ほんわかした暖かな感じ。
「エターナル・サンシャイン」で見られたような映像的激しさは陰を潜め、インディーズ色が強く感じられました。

この監督は、基本的に妄想狂ですね。
だからこそ、共感できる部分は結構あります(焦)。
いや、すべてのクリエイターは妄想狂かな。


夢と現実、使い古されたテーマを斬新にするには。

★★★★★★☆☆☆☆(6)

「パリ・ジュテーム」試写

(観た日を忘れた・・・)

パリを舞台にした男女の様々な恋模様を描く短編18本/2時間。
約5分間という限られた時間の中で、それぞれの監督が何を切り取り、いかに登場人物を描ききるか、とても興味深い。

様々な監督の作品がある中、一際私の心を揺さぶったのは、やはりコーエン兄弟だった。
彼らが撮った地下鉄の物語はズバ抜けて印象度が強い。

地下鉄の空間をうまく利用した設定。
ワンカットで釘付けにする画作り。
キャラクターを浮き立たす小道具。
短い中で起承転結のある脚本力。
彼らならではのブラック・ユーモアが溢れた個性的な作風。
なんでもない地下鉄の空間が、まるで舞台化された装置のように働く。

短編は着眼点と切れ味。
見習うべきところがたくさんあった。


削ぎ落とした美しさ。

★★★★★☆☆☆☆☆(5)
(短編集のため参考評価)

「パフューム」試写

(観た日を忘れた・・・)

異常に発達した嗅覚を持つ青年が「究極の香水」を作る物語。
Perfume
17、18世紀のパリ。悪臭漂う魚市場で、産気づいた魚売りの女からゴミ溜めに産み落とされる主人公。
主人公はあらゆる臭いをかぎわける能力で、他者から疎外されていく。奴隷として働き、人間性を奪われ、人との接し方もわからず生きていく。
ある日、主人公はひとりの若い女の香りに心奪われる。初めて見る女。ゴミ溜め同然の世界で知る心地よい香り。主人公は女を忘れられず、その女の元に会いに行く。が、ふとしたことで、誤ってその女を死に至らしめてしまう。
しかし、その後に展開されるのは、香りに異常なまでに執着する主人公の姿。

異質な世界で突飛な才能を持った主人公が、“女の香り”を元に香水を作ろうとする。
どこまでもファンタジーな雰囲気。
そして、その“女の香り”を集めた「究極の香水」によって、ある決定的な事件が起こる。
この決定的事件の捉え方で、この作品の見方が決まるといってもよい。

実際、私はこの決定的事件が起きた後、一気に引いてしまった。
“見えないものを見せる”ということがどれほど難しいか。
なぜ、あのような演出になったのか。
中途半端にしか見えない。
どうせやるなら「ベルセルク」的な破戒イメージを突き詰めてほしかった。
私はこのファンタジーを、“100歩譲って”観なければならなかった。
思えば、「異常な嗅覚を持つ主人公」という時点ですでにファンタジーだったのだが。

この決定的事件後の彼の足取り=ラストシーンもファンタジー。
これだったら、全人類をベホマズンで回復させるっていうこともアリになってしまう。
そもそもこれを映画化するのって、非常に酷。
でも。話としては面白い。
意見が極端に分かれる作品かな。


おとぎ話とリアルの境界に下す監督の決断

★★★★★★☆☆☆☆(6)

「アタゴオルは猫の森」完成披露試写

ますむらひろし原作のファンタジーコミックの映画化。
フル3DCGでの挑戦でしたが、全体的に描写がわかりずらく、予算がなかったのかな……と思って今しました。
アタゴオルは猫の森 1 (1)
米米の石井竜也が楽曲に参加(しかも冒頭で出演も)していた。
今回、ココが結構ウリなのかもしれない。
楽しげな楽曲群はさすが、というべきなのか。

ただ、動きもぎこちなく、リップシンクもスムーズでないなど、細かいところを挙げるとキリがなく、行き当たりばったりのストーリー、原作の雰囲気があまり感じられない演出、と原作ファンからすると、ちょっと物足りなさを感じるかもしれません。

“物語が壮大になってしまう”という映画化にありがちなパターンに陥ってしまった感がありました。
個人的には、冒頭のアタゴオルの平和な描写をもっと細かくもっと長くしなければ、この原作の良さが発揮されないし、今回のストーリーのキモに広がりが出ないのではないかと思いました。
日本のCGのレベルってもっと高いような気がするのですが……、尺が短くても要所要所をしっかり作り込んで、もっとクオリティの高い作品にしてほしかった気がします。

もう言うまでもないんですが、山ちゃんの声は凄いね。あと、セミ男の谷啓も渋くて味が出ててよかった。
それから、キャラクターがカワイイ! これは原画とはまた違って、CGもなかなかイケます。
それだけに、ちょっと残念かな。

自分の目指すクオリティと仲間のクオリティの線引き

★★★☆☆☆☆☆☆☆(3)

「スーパーマン リターンズ」試写

昔何度となくビデオで観た「スーパーマン」をスクリーンで観られるっていうのは、感慨深いものがあります。
テーマ曲を聴いただけで、ワクワク♪
スーパーマン リターンズ  <映画ノべライズ>

世界観そのままに、あのクラーク・ケントが、スーパーマンが、例のごとくユーモア織り交ぜて描かれます。
ブライアン・シンガーも、スタッフも、スーパーマンが大好きなんでしょう。
そういう気持ちが伝わってきます。

スーパーマンが数々の凄いことをやってのけるのを観るにつけ、胸が熱くなり涙腺が緩みます
超人です。
みんなのヒーローなんです。

ケビン・スペイシーってイイ! 大好きです。
ケレン味ある悪役が板に付きまくってます。

昔の記憶を裏切られることなく、すんなり世界に入れただけでも大満足♪

それにしても、70mmでカメラテストしたみたい。
制作の都合で断念して、ジェネシス・カメラというデジタル撮影になったみたい。
帰りの電車でプレスを読んで初めて知ったのだけど、もうそれくらいフィルムと違和感なく観られた。注意してみないと、その差がわかりにくくなってる。
もちろん、つるっとした感じはあったんだけど、
それでも技術の進歩に感嘆。


幼少の記憶と興奮を喚起するものとは

★★★★★★★★☆☆(8)